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微生物学:遺伝子内でのDNA逆位は細菌のコーディング容量を拡大する

Nature 634, 8032 doi: 10.1038/s41586-024-07970-4

1個の細菌から生じた細菌集団は厳密にはクローンではなく、多くの場合、異なる表現型を持つ複数の部分集団が含まれる。細菌では、相変異(あらかじめプログラムされた可逆的機構で、集団にわたって遺伝子発現レベルを変化させる)を通じて不均一性が生じることがある。相変異の詳しく研究されている1つでは、ゲノムDNAの特異的領域で酵素が介在する逆位が起こる。このようなDNA逆位では、プロモーターの向きの反転が高頻度で起こり、隣接するコーディング領域の転写がオンあるいはオフになる。逆位は、このような機構を介して適応度、生存、集団の動態に影響を及ぼす可能性がある。今回我々は、ロングリードのデータセットを使ってDNA逆位を見つけ出す計算ツールであるPhaVaを開発したことを報告する。そして、単離した細菌やアーキアのゲノム中で、完全に遺伝子内に存在する新しいクラスのDNA逆位である「遺伝子内インバートン」を372個明らかにした。遺伝子内インバートンがあると、コーディング領域内のDNA塩基配列が反転することにより、1つのタンパク質の2種類、あるいはそれ以上のバージョンを1個の遺伝子がコードできるようになり、ゲノムサイズを大きくすることなくコーディング容量を増やせる。実際に我々は、腸内共生細菌のBacteroides thetaiotaomicronには10個の遺伝子内インバートンが存在することを確認し、チアミン生合成遺伝子thiCに1個の遺伝子内インバートンがあることを実験によって明らかにした。

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