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神経科学:ショウジョウバエにおける状況特異的な停止の基盤となる神経回路機構
Nature 634, 8032 doi: 10.1038/s41586-024-07854-7
歩行は、脳と脊髄にわたる協調的で分散した活動を伴う複雑な運動プログラムである。正しい時に適切に停止することは、歩行制御の重要な構成要素である。停止を駆動するニューロンの特定は進んでいるが、相反する歩行状態の無効化を担う基盤となる神経回路機構は解明されていない。今回我々は、コネクトーム情報に基づくモデルと機能研究を用いて、ショウジョウバエ(Drosophila)が状況に適した停止を実行する2つの基本的機構を説明する。第一の機構(「歩行オフ」)は、GABA作動性ニューロンに依存して、脳において特定の下行性歩行指令を抑制する。一方、第二の機構(「ブレーキ」)は、神経索の興奮性コリン作動性ニューロンに依存して、足踏み運動の能動的な停止を引き起こす。歩行オフ機構を作動させる2種類のニューロンは、歩行を促進する異なるニューロン集団を抑制し、これが前進停止または回転停止という差につながることが分かった。対照的に、ブレーキニューロンは、下行性歩行促進ニューロンの抑制と脚関節での抵抗の増大を同時に行うことで、全ての歩行指令に優先される。さらに、ハエが異なる停止機構を相互排他的な様式で用いる際の2つの行動状況の特徴が明らかになった。つまり、歩行オフ機構は摂食中の停止に用いられ、ブレーキ機構はグルーミング中の停止と安定性に用いられる。

