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神経科学:成体脳のニューロン配線図
Nature 634, 8032 doi: 10.1038/s41586-024-07558-y
ニューロン間の接続は、脳の電子顕微鏡画像を取得し、それらを解析することでマッピングできる。近年、この手法が脳のいくつかの大きな領域に用いられ、極めて有益な局所的接続マップが再構築されているが、それでも脳機能をより全体的に理解するには不十分である。今回我々は、成体の雌のキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)から再構築された、13万9255個のニューロンの間の5 × 107個の化学シナプスからなる全脳のニューロン配線図を提示する。この情報資源には、細胞のクラスやタイプ、神経、半系統(hemilineage)のアノテーション、そして、神経伝達物質の種類の予測が含まれる。データ生成物は、ダウンロードの他、プログラミングへの利用やインタラクティブな閲覧が可能であり、他のハエのデータ情報資源との相互運用性も持たせてある。我々は、このコネクトームから脳領域間の投射のマップである「プロジェクトーム」を作製し、両半球にわたって、また中央脳と視葉の間でシナプス経路を追跡するとともに、入力(感覚ニューロンおよび上行性ニューロン)から出力(運動ニューロン、内分泌ニューロン、および下行性ニューロン)に至る情報の流れの解析を行った。一部の光受容器から下行性の運動経路まで追跡することで、構造が、感覚運動的挙動の基盤と推定される回路の機構をいかに明らかにできるかが示された。本論文で示した技術とオープンなエコシステムは、他の動物種における将来の大規模なコネクトームプロジェクトのための土台となる。

