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腫瘍生物学:変異を除去する機構が乳腺組織の広域発がんを推進する

Nature 633, 8028 doi: 10.1038/s41586-024-07882-3

発がん性変異は健康な個体の組織にも数多く存在するが、腫瘍を形成することは滅多にない。しかし、その根底にある防御機構はほとんど解明されていない。今回我々は、マウスの乳腺組織でこの機構を解明するために、系譜追跡を行って野生型細胞とBrca1−/−;Trp53−/−細胞の運命をマッピングし、どちらの細胞も、乳管内での消失、拡散に関して同様なパターンをたどることを発見した。クローン解析によって、乳管は、短寿命の子孫を生じる自己複製性の細胞の小さな反復単位で構成されていることが判明した。これが防御の第一層となり、発がん性変異を起こした細胞を含め、どの子孫細胞も絶えず消失することで、変異の拡散を単一の幹細胞から生じた反復単位に限定する。連続した発情周期の間に局所的な組織の再構築が起こることで、自己複製細胞が協調的かつ確率論的に消失し、置換される。この過程が防御の第二層となって大半の変異クローンの除去につながるが、一方、偶然生き残った少数の変異クローンは幹細胞の子孫単位を超えた拡大が可能になる。これによって上皮ネットワークの広い部分にまたがる変異細胞領域が生じ、これが形質転換を起こしやすくする。最終的には、クローン増殖は乳管の形状によって制限されることになり、これが防御の第三層となる。総合すると、これらの機構は、体細胞変異を獲得した細胞の大半を除去する働きをするが、その代償として少数の細胞の加速的な増殖を駆動して、これらの細胞が広い範囲に定着すると広域発がん(field cancerization)につながる可能性がある。

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