Article
量子計測学:格子原子干渉計を用いた重力の計測
Nature 631, 8021 doi: 10.1038/s41586-024-07561-3
重力は、大きなスケールでの自然界の支配的な力であるにもかかわらず、実験室での精密実験が依然として困難である。原子干渉計は、例えば、地球の重力、重力定数、ニュートン重力とのずれ、一般相対性理論を研究するための強力なツールである。しかし、自由落下している原子を用いると、測定時間は数秒間に制限され、小さな重力源質量との相互作用の測定ではそれはさらに短くなる。最近、光共振器によってフィルタリングされた光格子モードで70秒にわたって原子を浮遊させた干渉計が実証されている。しかし光格子では、地球の重力との釣り合いを取るために、想定される信号より数十億倍も強い力を加えなければならず、わずかな欠陥でも複雑な系統的影響が生じる可能性がある。従って格子干渉計は、重力の精密検証にはいまだ用いられていない。本論文で我々は、格子干渉計の重力感度を最適化し、信号反転システムを用いて系統的影響を抑制および定量化した。その結果、微小重力源質量の引力はamass = 33.3 ± 5.6(統計誤差)± 2.7(系統誤差) nm s−2と測定され、この値はニュートン重力と矛盾せず、自然なパラメーター空間に及ぶ「遮蔽された第5の力」は除外された。6.2 nm s−2という全体の精度は、自由落下している原子を用いた類似した測定の最良値を4倍以上も上回っている。原子冷却と、傾斜で生じる雑音の抑制を改良すれば、サブミリメートル領域での力の探求、コンパクトな重力計測、重力アハラノフ–ボーム効果や重力定数の測定、そして重力場が量子力学的な性質を持つかどうかの検証に向け感度がさらに高まると考えられる。

