Perspective

ニューロン発生:ヒト脳の進化と速度について分子と細胞から展望する

Nature 630, 8017 doi: 10.1038/s41586-024-07521-x

現生人類の脳の進化には分子と細胞の独特な特殊化が伴っていたが、こうした特殊化はさまざまな認知能力を支えるだけでなく、神経疾患への脆弱性を高めてもいる。こうした特徴には、ヒトに特異的なものもあれば類縁種と共通しているものもあり、それらはヒト脳の発達のさまざまな段階で見ることができる。この多段過程では、神経幹細胞は増殖して多数・多様な前駆細胞プールを作り出し、興奮性・抑制性のニューロンを生み出して、それらはその後の成熟過程で回路に組み込まれていく。この過程は、種によってさまざまな時間スケールで展開するが、ヒト系統では次第に遅くなり、この速度の差は脳のサイズ、細胞数、細胞多様性、結合性の差と相関している。本論文で我々は、発生の速度の減少と増加に対して「緩時性(bradychrony)」と「急時性(tachycrony)」という語を導入する。そして、in vitroモデルの高度なエンジニアリング、機能比較遺伝学、ハイスループット単一細胞プロファイリングなどの分野横断的な最近の技術的進歩が、緩時性の神経発達の際にヒト脳の特異化が起こる仕組みについてのより深い理解へとどのようにつながっているのかを考察する。新たな手掛かりは、遺伝学、遺伝子調節ネットワーク、細胞イノベーション、発達の速度が果たす中心的な役割を示しており、これらが合わさって、神経発達のさまざまな段階と進化の異なる時点で、ヒト脳の特殊化の確立に寄与している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度