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構造生物学:リボソームによるアンギオジェニン活性化の構造的機構
Nature 630, 8017 doi: 10.1038/s41586-024-07508-8
RNアーゼAファミリータンパク質の1つであるアンギオジェニンは血管新生を促進し、がん、神経変性疾患とエピジェネティックな遺伝に関係するとされてきた。アンギオジェニンは細胞ストレスの間に活性化された後、tRNAをアンチコドンループの所で切断するので、結果として翻訳が抑制される。しかし、単離されたアンギオジェニンの触媒活性は非常に低く、酵素の活性化とtRNAに対する特異性の機構はまだ解明されていない。今回我々は、生化学分析とクライオ電子顕微鏡法を用いてこれらの機構を明らかにした。我々の研究により、細胞質にあるリボソームがアンギオジェニンの活性化因子であることが明らかになった。クライオ電子顕微鏡法によって得られた構造から、80SリボソームのAサイトに結合したアンギオジェニンの特徴が明らかになった。アンギオジェニンのC末端尾部がリボソームとの相互作用によって再配置されてRNアーゼ触媒中心を活性化し、この酵素のtRNA切断効率が数桁以上高くなることが分かった。また別の80Sリボソーム–アンギオジェニン構造から、基質のtRNAがリボソームによりアンギオジェニンの活性部位へと誘導される仕組みが捉えられ、リボソームが特異性因子として作用していることが明らかになった。従って我々の知見は、アンギオジェニンが、Aサイトが空のリボソーム(細胞ストレス中にその存在量が増加する)により活性化されることを示唆している。これらの結果は、がんや神経変性疾患の治療薬の開発を促進する可能性がある。

