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生態学:リンを巡る微生物との競争が成熟林のCO2応答を制限する
Nature 630, 8017 doi: 10.1038/s41586-024-07491-0
陸上生態系が、CO2濃度の上昇に伴って増えた炭素(C)を隔離する能力は、土壌栄養素の利用可能性に依存する。以前の証拠からは、リン(P)が欠乏した土壌で生育する成熟林が高レベルのCO2の下で過剰な生物量を隔離する能力は限定的であることが示唆されているが、生態系のP循環およびそのCO2応答に関する不確実性が、気候変動下の陸上のCシンクを機構的に予測する上で重大なボトルネックになっている。今回我々は、高レベルのCO2にさらされたP制限下の成熟林に関する最初の網羅的P収支を集計し、土壌微生物に捕捉されたPが、生態系のP再循環と植物の取り込みのための利用可能性を制約している可能性が高いことを示す。高木はPを効率的に使用するが、無機化された土壌のPを微生物が先取りすることにより、高木が高レベルのCO2の下でPの取り込みと同化を増加させる能力、ひいてはそれらが過剰なCを隔離する能力が制限されるとみられる。P制限下の森林がCの捕捉量を増やしてそれを新たな生物量へと変換するには、おそらく根圏のCの土壌への放出を増加させるなど、微生物のP循環および植物のP取り込みを刺激するための植物側での戦略が必要になるだろう。今回の結果は、Pの利用可能性が高木成長のCO2施肥を制限する重要な機序を明らかにしており、未来の長期的なC貯蔵を予測する地球システムモデルの開発を導くと考えられる。

