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生体力学:帆翔する鳥類では呼吸器系が飛行力学に影響を与える

Nature 630, 8017 doi: 10.1038/s41586-024-07485-y

胸筋下憩室(SPD)は鳥類の呼吸器系の延長であり、翼の羽ばたきを担う主要な筋肉の間に位置している。今回我々は、鳥類68種の肺器官を調べ、SPDが、調べた帆翔タクソンのほぼ全てに見られる一方、非帆翔タクソンには見られないことを明らかにする。この構造は帆翔飛行と共に少なくとも7回独立して進化したことが分かり、これは、SPDがこの飛行様式と機能的・適応的に関係している可能性を示している。我々は、帆翔するタカ類であるアカオノスリ(Buteo jamaicensis)およびアレチノスリ(Buteo swainsoni)をモデルとして用い、SPDが換気に不可欠ではないこと、膨張したSPDが胸筋の頭側部分のモーメントアームを増大させ得ること、そして、胸筋の繊維束は帆翔するタカ類では帆翔しない種よりも大幅に短いことを明らかにする。SPDを介した胸筋のてこ作用の強化と、力に特化した筋肉構造のこうした結び付きによって、帆翔飛行に予想される等尺性の収縮条件に適応した空気圧システムが生み出される。鳥類のロコモーションで呼吸器系が果たす力学的役割の発見は、この器官系の機能的複雑さと不均一性を明らかにしており、肺関連の憩室が他にも未発見の二次的な機能を持つ可能性が高いことを示唆している。今回のデータは、帆翔する鳥類系統でSPDが繰り返し出現したことを力学的に説明するものであり、呼吸器系が飛行の課題の数々に対する生体力学的な解決策を得るために転用され、それによって鳥類の飛行能力の進化に影響を及ぼし得ることを示している。

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