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量子シミュレーション:数百個の捕捉イオンを用いたサイト分解二次元量子シミュレーター
Nature 630, 8017 doi: 10.1038/s41586-024-07459-0
大規模な量子コンピューティングや量子シミュレーションに不可欠な要件は、大きなキュービット容量と個別読み出し能力の2つである。イオントラップは、量子情報処理に向けた主要な物理プラットフォームの1つとして、一次元パウルトラップではサイト分解読み出しによる数十個のイオンの量子シミュレーションを、二次元(2D)ペニングトラップでは大域的なオブザーバブルによる数百個のイオンの量子シミュレーションを実現している。しかし、これら2つの特徴を1つの系に統合することは、依然として非常な難題である。今回我々は、2Dウィグナー結晶における512個のイオンの安定な捕捉と、それらの横運動のサイドバンド冷却について報告する。我々は、300個のイオンを用いて、フラストレーションの有無にかかわらず、結合強度と結合パターンを調整可能な、長距離量子イジング模型の量子シミュレーションを実証した。シングルショット測定でのサイト分解能のおかげで、準断熱的に準備された基底状態における豊かな空間的相関パターンが観測され、これによって、測定された2スピン相関を、計算された集団フォノンモードや古典的なシミュレーテッドアニーリングと比較することにより、量子シミュレーションの結果の検証が可能になった。我々はさらに、横磁場中でのイジング模型のクエンチダイナミクスを調べて、量子サンプリングのタスクを実証した。今回の成果は、2Dイオントラップ量子シミュレーターを使用して、古典的には扱いにくい量子ダイナミクスのシミュレーションや、雑音の多い中間スケール量子アルゴリズムの実行への道を開く。

