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グラフェン:無酸素化学気相成長による、再現性のあるグラフェン合成
Nature 630, 8017 doi: 10.1038/s41586-024-07454-5
銅上へのグラフェンの化学気相成長(CVD)合成は、このプロセスが初めて実証されて以来、広く採用されてきた。しかし、CVDで成長させたグラフェンの基礎科学や応用への広範な使用は、再現性と品質の課題によって妨げられている。今回我々は、低圧CVDによるグラフェンの成長では、微量酸素が、成長過程と品質を決定付けるカギとなる要因であることを特定した。無酸素化学気相成長(OF-CVD)合成は、高速で再現性が高く、速度論を簡潔なモデルで記述できるが、一方で微量酸素を添加すると、核生成が抑制され、成長が遅くなったり不完全になったりする。表面コンタミネーション、ラマンDピークの出現、電気伝導率の低下によって評価されるように、酸素はグラフェンの品質に影響を及ぼす。無酸素条件下で成長させたエピタキシャルグラフェンは、コンタミネーションがなく、検出可能なDピークは示さない。ドライ転写して窒化ホウ素で封止したグラフェンは、剥離グラフェンに近い室温電気輸送挙動を示した。また、グラファイトゲートを用いたデバイスは、十分発達した整数量子ホール効果と分数量子ホール効果を示した。今回の研究は、微量酸素を除去する重要性を浮き彫りにすることで、将来のCVDシステムの設計と動作のための指針をもたらしている。OF-CVD合成によって可能になった再現性と品質の向上は、グラフェンの基礎研究と応用に広く影響を及ぼすだろう。

