コロイド:コロイド結晶における加工硬化
Nature 630, 8017 doi: 10.1038/s41586-024-07453-6
コロイド結晶は、いろいろな意味で原子結晶に類似した興味深い特性を示す。コロイド結晶と原子結晶は、同じ結晶構造をとり、同じ相転移を起こし、同じ結晶欠陥を有する。こうした構造的特性とは対照的に、コロイド結晶の機械的特性は原子結晶系とは全く違っている。例えば、原子系と異なり、剛体球コロイド結晶の弾性は純粋にエントロピー的であり、その結果、剛体球コロイド結晶は非常に軟らかく撹拌するだけで融解する。さらに、結晶材料は、せん断を大きくしていくと塑性変形し、加工硬化という普遍的な過程に起因して強くなる。しかし、これまでのところ、この過程は我々の知る限り、コロイド結晶では観察されていない。今回我々は、剛体球コロイド結晶が加工硬化することを示す。さらに、コロイド結晶は、その軟らかさにもかかわらず、せん断強度を増大させて結晶の理論限界に近づけられることが分かった。これまで、この理論限界値に達した材料は他にほとんどない。我々は、共焦点顕微鏡法を用いて、剛体球相互作用には原子相互作用の複雑さがないものの、コロイド結晶の強度が転位密度とともに増大し、最終的に原子材料に関する古典的なテイラースケーリング挙動に達することを示す。我々はまた、転位の接合の形成を通してテイラー硬化が生じることも実証する。ただし、テイラー硬化領域は遷移相の後でのみ確立され、コロイド結晶が非常に硬くなって、ひずみが、非従来的な転移運動に起因してすべりが生じる薄い境界層内で局在化すると終わる。コロイド結晶と原子結晶は、粒子サイズと剛性率が何桁も異なっているにもかかわらず、著しく類似しており、この類似性は加工硬化の普遍性を実証するものである。

