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物性物理学:ダブルゲートグラフェンにおけるプロトン輸送と水素化の制御
Nature 630, 8017 doi: 10.1038/s41586-024-07435-8
グラフェンの基底面は、プロトンは透過するが他の全てのイオンや気体は透過しない選択的バリアとして機能できることから、メンブレン、触媒反応、同位体分離などへの用途が促されている。また、プロトンはグラフェンに化学吸着してこれを水素化でき、グラフェン電子デバイスにおいて盛んに研究されている導体–絶縁体転移を誘起する。ところが、いずれの過程もエネルギー障壁に直面しており、例えば、空孔の導入、触媒金属の組み込み、または格子の化学的機能化によってプロトン輸送を加速させるさまざまな戦略が提案されている。しかしこれらの手法は、イオン選択性や機械的安定性など、他の特性を損なう場合がある。今回我々は、ダブルゲートグラフェンにおいて、電場Eを約1 V nm−1に、電荷キャリア密度nを約1 × 1014 cm−2に、それぞれ独立に制御することで、プロトン輸送の格子水素化からの切り離しが可能になり、これによってプロトン輸送を加速させてデバイスの電解質の限界電流に近づけられることを示す。プロトン輸送と水素化は、精密さとロバスト性を持って選択的に駆動でき、これにより、桁違いのオン/オフ比を持つプロトン系の論理/メモリーグラフェンデバイスが可能になった。今回の結果は、電界効果によって、ダブルゲート2D結晶中で電気化学過程の加速や切り離しが可能になることを示すとともに、そうした過程をEとnの関数としてマッピングできる可能性を実証しており、これは、2D電極–電解質界面を研究する新たな手法となる。

