Article

生化学:細菌の免疫増強のためのpro-CRISPR PcrIIC1関連Cas9系

Nature 630, 8016 doi: 10.1038/s41586-024-07486-x

CRISPR系は原核生物に見られる適応免疫系で、宿主細胞を外来DNAの侵入から守っている。ファージと細菌免疫系の間で続いているこの闘いの一環として、CRISPR系はさまざまなタイプに進化しており、そのそれぞれが別個の機能を備えている。タイプII Cas9系はこれらのCRISPR系の中で最も広く研究されており、さまざまなサブタイプが存在する。しかし、このファミリーのメンバーがウイルスの侵入に対抗するためのさらなる機構を進化させることができるかどうかは分かっていない。今回我々は、2062の完全なCas9遺伝子座を見つけ出し、それらに関連するタンパク質の構造を予測して、タイプII-C Cas9の構造的展開の軌跡3つを明らかにした。新規関連遺伝子(NAG)は、より大きなII-C Cas9遺伝子座内に存在する傾向があることが分かった。さらに詳しく調べたところ、Chryseobacterium属の種由来のCbCas9には新規なβ-REC2ドメインが含まれ、NAGの1つにコードされたII-C Cas9のpro-CRISPR(CRISPR–Cas-system-promoting)タンパク質(PcrIIC1)とヘテロ四量体である複合体を形成することが明らかになった。このCbCas9–PcrIIC1複合体は、単独で働くCbCas9に比べ、DNA結合活性、DNA切断活性が亢進し、プロトスペーサー隣接モチーフ配列との適合の幅が広がり、ミスマッチの許容度が高まり、抗ファージ免疫が改善していた。総合すると、この研究によって、II-C Cas9タンパク質の構造レベルでの多様性と「展開的進化」の軌跡が明らかになり、CRISPR促進因子として働いてCRISPRを介した免疫を増強する、PcrIIC1をはじめとする多くのNAGが明らかになった。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度