量子ドット:長距離秩序によって可能になった量子ドット発光ダイオードの安定性
Nature 629, 8012 doi: 10.1038/s41586-024-07363-7
ペロブスカイト量子ドット(QD)を用いた発光ダイオード(LED)によって、狭帯域発光で25%を超える外部量子効率(EQE)が得られているが、こうしたLEDは動作寿命が限られている。我々は、ペロブスカイトQD膜における不十分な長距離秩序(ドットサイズ、表面配位子密度、ドット間の積層のばらつき)がキャリア注入を妨げる結果、こうしたLEDの発光には大きなバイアスが必要になるため、動作安定性が低くなると推測した。今回我々は、化学処理でペロブスカイトQD膜の長距離秩序が向上し、繰り返しQD単位の回折強度が対照群の3倍になることを報告する。我々は、相乗的二元配位子手法(synergistic dual-ligand approach)、すなわち、アニオン交換のためのヨウ化物リッチな薬剤(アニリンヨウ化水素酸塩)と、より小さなQDをin situで溶解してサイズを調節するとともに伝導性の低い配位子をより効果的に除去して緻密で均一な欠陥のない膜の形成を可能にする強酸を生成する化学反応性の高い薬剤(ブロモトリメチルシラン)を用いることによって、これを実現した。こうした膜は、高い伝導率(4 × 10−4 S m−1)を示した。これは、対照の2.5倍であり、ペロブスカイトQDでこれまで記録された中で最高の伝導率である。この高い伝導率によって、効率的な電荷輸送が確保され、2.8 Vという記録的に低い電圧で1000 cd m−2の輝度を生み出す赤色ペロブスカイトQD-LEDが可能になった。この輝度でのEQEは20%を超えている。さらに、この動作デバイスの安定性は、EQEが20%を超える場合にこれまでの赤色ペロブスカイトLEDより100倍優れている。

