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古生態学:新生代の環境変化に対する海洋プランクトンの生物地理的応答
Nature 629, 8012 doi: 10.1038/s41586-024-07337-9
古生物学研究において、生態的・形態的な形質がクレードの歴史を通じて一貫している集団(機能群)は、生物多様性の動態について、進化的に一過性である種や属とは異なる視点をもたらす。今回我々は、新生代のマクロ殻孔を持つ浮遊性有孔虫類の産出に関する全球データセットTritonの解析を行い、公平度の緯度勾配、機能的多様性、古緯度的な特殊化、群集の公平度の変化を文脈化した。その結果、白亜紀–古第三紀境界の絶滅後の全球の形態的群集の特殊化が豊富さの増大に先行して低下したこと、前期始新世気候最適期(EECO)の生態的特殊化から新生代の温室化極大期における赤道域の水温の阻害性が示唆されること、始新世–漸新世の移行期にわたる海洋循環の変化に起因する特殊化の増大に次いで形態的多様性が失われたこと、形態的な特殊化と豊富さが約1900万年前に外洋性サメ類の絶滅と時期を同じくして変化したこと、そして、中期中新世のプランクトン多様化の時期には両半球間で機能群の豊富さと特殊化の変化の開始に遅れがあったことが明らかになった。Tritonデータセットの詳細さによって、新生代のさまざまな事象における機能群や豊富さの全球的な生物地理的応答が分離された、新生代の外洋の大進化に関する独特な時空間的視点が得られた。類似の非生物的選択圧に対する機能群の全球的応答は、集団が適応する、背景となる気候状態(温室か氷室か)に依存する可能性がある。

