Article

微生物学:父系マイクロバイオームの乱れは仔の適応度に影響を与える

Nature 629, 8012 doi: 10.1038/s41586-024-07336-w

腸内微生物相は、宿主と環境が相互作用する境界面で働き、ヒトの恒常性や代謝ネットワークに影響を及ぼす。従って、腸内の微生物生態系のバランスを乱す環境因子は、体細胞組織全体にわたる生理学的応答および疾患関連応答を形作る可能性がある。しかし、腸マイクロバイオームが生殖細胞系列に及ぼす全身的な影響や、その結果として生殖細胞系列から生じるF1仔に及ぼす影響については、まだ調べられていない。今回我々は、腸内微生物相は、マウスにおいて受胎前の父系環境と世代間の健康との間で、重要な境界として働くことを示す。将来父親になるマウスの腸内微生物相の乱れは、そのマウスの仔の低出生体重、重度の発育不全、早期死亡の可能性を高めた。疾患リスクの伝達は生殖細胞系列を介して起こり、非吸収性抗生物質や浸透圧性下剤などによる腸マイクロバイオームの広範囲な乱れにより引き起こされるが、受胎前に父親の微生物相を回復させることで救済された。この作用は、レプチンシグナル伝達の障害、精巣の代謝物プロファイルの変化、精子内での小分子RNAペイロードの再マッピングなど、雄の生殖器系で誘導されるディスバイオーシスに対する動的な応答と結び付いている。その結果、父親のディスバイオーシスは、in utero胎盤機能不全リスク上昇の引き金となっており、哺乳類での世代間作用の胎盤起源が明らかになった。我々の研究で、雄における調節性の「腸–生殖細胞系列軸」が明らかになり、この軸は環境曝露に対する感受性を持ち、胎盤の機能に影響を及ぼして仔の適応度をプログラムする。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度