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生化学:代謝酵素の進化におけるフラクタル形状の出現
Nature 628, 8009 doi: 10.1038/s41586-024-07287-2
フラクタルとは、多様な長さスケールにわたって見られる自己相似性のパターンをいう。巨視的なフラクタルは自然界ではよく見られるが、分子が集合して生じるフラクタルは、これまでのところ合成系に限られていた。今回我々は、シアノバクテリアのSynechococcus elongatus由来の天然タンパク質の1つであるクエン酸シンターゼが、自己集合して「シェルピンスキーの三角形」を作ることを発見した。クライオ電子顕微鏡を用いることにより、このフラクタル集合体が六量体である構成単位から生じる様子が明らかになった。フラクタル複合体の形成はさまざまな刺激によって調整され、in vitroではこれらの複合体によってクエン酸シンターゼの酵素活性が調節可能だが、このフラクタルはin vivoでは生理的機能を果たしていない可能性がある。祖先配列の再構築を行って、このクエン酸シンターゼフラクタルが非フラクタルな前駆体からどのように進化したのかをたどってみた。その結果は、このフラクタルが進化的に無害な偶発的事象として出現した可能性を示唆している。これらの知見は、可能性のあるタンパク質複合体空間を拡大するとともに、複雑かつ調節可能な集合体が単一の置換によって進化し得ることを実証している。

