Article

健康科学:DNAポリメラーゼガンマの祖先対立遺伝子は抗ウイルス耐性を変化させる

Nature 628, 8009 doi: 10.1038/s41586-024-07260-z

ミトコンドリアは抗ウイルス耐性の重要な調節因子で、感染後にミトコンドリアDNA(mtDNA)やミトコンドリアRNA(mtRNA)の断片を細胞質に放出し、ウイルスセンサーやI型インターフェロン(IFN-I)応答を活性化する。これらの機構とミトコンドリア病との関係はあまり研究されていない。今回我々は、DNAポリメラーゼガンマ(POLG1)におけるヨーロッパ系に一般的な創始者変異によって引き起こされる、ミトコンドリア劣性運動失調症候群(MIRAS)について調べた。MIRASバリアントp.W748Sがホモ接合の患者は、発症年齢や症状が非常に多様であり、これは、未知の修飾因子が疾患の発現に関与していることを示している。我々は、mtDNAレプリカーゼPOLG1が、二本鎖DNAウイルスやプラス鎖RNAウイルス(HSV-1、TBEV、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2〔SARS-CoV-2〕)の感染に対する抗ウイルス防御機構において役割を担っており、また、このp.W748Sバリアントが自然免疫応答を減弱させることを報告する。我々の患者およびノックインマウスのデータから、p.W748SがmtDNAレプリソームの安定性を損なわせ、これによってmtDNAの枯渇が起こり、これはウイルス感染によって増悪することが示された。MIRASでは、mtDNAやmtRNAの細胞質への放出が少なく、IFN応答が遅延するため、ウイルスにとって早期の複製に有利な条件になり、炎症反応の増強、GABA作動性ニューロンの亜急性喪失、肝臓の炎症と壊死につながる。約30万人のフィンランド人の集団データバンクから、POLG1 p.W748S変異の保因者に免疫不全形質が多く見られることが実証された。我々の証拠は、POLG1異常が抗ウイルス耐性を低下させ、てんかんや肝疾患を引き起こすことを示唆している。この知見は、てんかん、運動失調、パーキンソニズムなどのミトコンドリア病の範囲に重要な意味を持つ。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度