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物性物理学:SrTiO3におけるテラヘルツ電場駆動による動的マルチフェロイック性
Nature 628, 8008 doi: 10.1038/s41586-024-07175-9
物質における集団秩序の出現は、物理学において最も基本的かつ興味深い現象の1つである。近年、熱力学的平衡では得られない新しい物質秩序状態の動的な制御と形成が、大きな注目を集めている。非強磁性物質における時間依存性電気分極による磁化の出現を記述するために、動的マルチフェロイック性の理論的概念が導入されてきた。簡単に言うと、結晶中のイオンのコヒーレントな回転運動が、回転軸方向に磁気モーメントを誘起する。今回我々は、この機構に起因する、典型的な常誘電体ペロブスカイトSrTiO3における室温磁化の実験的証拠を提示する。我々は、強い円偏光テラヘルツ電場で赤外活性ソフトフォノンモードを共鳴的に駆動し、時間分解磁気光学カー効果を検出した。有限温度における自己無撞着フォノン理論を用いた第一原理計算によって力と結合係数が導出された2つの結合非線形振動子を含む単純モデルは、今回の実験による観測結果を定性的に再現する。この効果については、全角運動量をフォノン秩序から電子秩序に移行させる、アインシュタイン–ドハース効果の逆効果(バーネット効果とも呼ばれる)のフォノン版を考慮することによって、定量的に正確な大きさが得られた。今回の知見は、光による格子振動のコヒーレント制御による、例えば超高速磁気スイッチなどの磁性制御への新しい道を示している。

