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がん:トランスバクセン酸はCD8+ T細胞と抗腫瘍免疫を再プログラム化する

Nature 623, 7989 doi: 10.1038/s41586-023-06749-3

食餌由来の栄養素は、エネルギーと生合成の構成要素を提供し、また調節分子として機能することで、ヒトの生理機能と緊密に結び付いている。しかし、人体を循環する栄養素が、特定の生理学的過程に影響を及ぼす機構については、ほとんど分かっていない。今回我々は、血中栄養化合物ライブラリーに基づくスクリーニング手法を用いて、食餌中のトランスバクセン酸(TVA)が、エフェクターCD8+ T細胞の機能と抗腫瘍免疫をin vivoで直接促進することを示す。TVAは、ヒトの母乳に豊富に含まれるトランス脂肪酸の主な形態だが、人体はTVAを内因的に産生することができない。ヒトの循環血中TVAは、主に牛肉やラム肉の他、牛乳やバターといった乳製品などの反芻動物から得られる食物に由来するが、食餌由来のTVAのうちルーメン酸に変換されるのは、ヒトで約19%、マウスで約12%のみである。機構的には、TVAは、免疫調節性Gタンパク質共役受容体である細胞表面受容体GPR43(自身の短鎖脂肪酸リガンドにより活性化される)を不活性化する。従って、TVAはGPR43の短鎖脂肪酸アゴニストに拮抗し、cAMP–PKA–CREB軸を活性化して、CD8+T細胞機能を亢進する。これらの知見は、食餌由来のTVAは、宿主内の腸内微生物相に由来する短鎖脂肪酸とは対照的な、CD8+ T細胞の宿主外因性再プログラム化の機構であることを示している。従って、TVAは腫瘍治療に応用できる可能性がある。

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