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社会科学:低・中所得国における成人と小児の死亡率に対する現金給付の影響
Nature 618, 7965 doi: 10.1038/s41586-023-06116-2
貧困は、健康の重要な社会的決定要因であり、これは死亡リスクの上昇と関連している。現金給付プログラムは、個人または世帯に対する無拠出制の金銭給付で、子どもの就学などの行動的条件が付随する場合としない場合がある。この数十年間に、現金給付プログラムは、多くの低・中所得国政府の貧困削減戦略の中心的要素として採用されるようになってきた。しかし、こうしたプログラムが成人と小児の死亡率に対して及ぼす影響については、文献上に大きな空白があり、既存の証拠は、主にラテンアメリカにおける少数の特定の条件付き現金給付プログラムに限られている。本研究で我々は、多くの低・中所得国における個人レベルの縦断的死亡率データセットを用いて、政府主導の大規模な現金給付プログラムの成人と小児の全死因死亡率に対する影響を評価した。その結果、現金給付プログラムは、女性と5歳未満の小児で死亡率の有意な低下と関連していることが明らかになった。二次的な異質性分析では、条件付きプログラムと条件なしプログラムの影響は同程度であり、プログラムの影響が大きいのは、対象となる人口が多く給付額が大きい場合や、医療費が低い国、ベースラインの平均余命が短い国、認識されている規制の質が高い国であることが示された。本研究の知見は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)中に多くの国で導入・拡大された現金給付などの反貧困プログラムを、国民の健康を改善するために利用することを支持している。

