構造生物学:栄養素感知のハブであるGATOR2の構造
Nature 607, 7919 doi: 10.1038/s41586-022-04939-z
mTORC1(mechanistic target of rapamycin complex 1)は、栄養素のような環境からの合図に応じて同化や異化の過程を調節することで、成長を制御している。アミノ酸シグナルはRag GTPアーゼを介してmTORC1へ伝達され、この過程はGATOR1やGATOR2などの複数のタンパク質複合体により調節されている。GATOR2は、5種類の構成成分(WDR24、MIOS、WDR59、SEH1L、SEC13)を持ち、アミノ酸がmTORC1を活性化するのに必要であり、ロイシンのセンサーであるSESN2とアルギニンのセンサーであるCASTOR1のそれぞれと相互作用している。GATOR2は、栄養素感知にこのような中心的役割を担っているにもかかわらず、そのサブユニットの化学量論的組成や生化学的機能、それに構造がいまだに解明されていないタンパク質である。今回我々は、クライオ電子顕微鏡法を用いて、ヒトGATOR2複合体の三次元構造を決定した。GATOR2は大型(1.1 MDa)で2回対称の鳥かごのような構造をとっていて、八角形の足場に支えられており、8対のWD40 βプロベラ構造が結合していることが分かった。この足場は、2つのWDR24と4つのMIOSと2つのWDR59サブユニットを含んでいて、これらは2つの異なるタイプの接合によって環状となっていて、接合には非触媒性RINGドメインとαソレノイドが関わっている。SEH1LとSEC13がβプロペラの刃に当たる部分を使って足場へ組み込まれることによって、GATOR2複合体は安定化しており、これは核膜孔や膜で覆われた複合体との進化上の関係を示している。足場は、WD40 βプロペラ二量体の方向を決めており、これらの二量体がSESN2、CASTOR1、GATOR1との相互作用を媒介している。我々の研究により、この栄養素感知装置の必須の成分の1つの構造が明らかになり、mTORC1経路中でのGATOR2の機能を解明する基盤が得られた。

