Article

免疫学:脳の運動回路と恐怖回路は急性ストレス時に白血球を調節する

Nature 607, 7919 doi: 10.1038/s41586-022-04890-z

神経系と免疫系は複雑に結び付いている。心理的ストレスは免疫機能を調整することが知られているが、脳内のストレスネットワークと末梢の白血球を結び付ける機構的経路についてはほとんど分かっていない。今回我々は、マウスにおいて、異なる脳領域が、急性ストレス時に白血球の全身分布と機能を形作ることを示す。我々は、光遺伝学と化学遺伝学を用いて、運動回路は、骨格筋から放出される好中球誘引性ケモカインを介して、骨髄から末梢組織への好中球の急激な動員を誘導することを示す。逆に、視床下部室傍核は、直接的な細胞内因性グルココルチコイドシグナル伝達を介して、二次リンパ器官と血液から骨髄への単球とリンパ球の脱出を制御する。白血球集団全体で見られるこのようなストレス誘発性の逆方向の移動は、疾患感受性の変化と関連している。一方では、急性ストレスは、好中球を再プログラム化して損傷部位へ向かわせることで、自然免疫を変化させる。他方では、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン産生ニューロンを介した白血球の移行は、自己免疫の獲得を防ぐが、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)やインフルエンザウイルスへの感染に対する免疫を障害する。まとめるとこれらのデータは、心理的ストレス下では、異なる脳領域が白血球全体を差別的に素早く調整しており、それによって免疫系の能力が調整され身体的な脅威に応答できるようになっていることを示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度