分子生物学:CMGヘリカーゼの集合が核となって起こる複製起点融解の機構
Nature 606, 7916 doi: 10.1038/s41586-022-04829-4
真核生物の複製起点の活性化は、染色体が細胞周期ごとに確実に1回だけコピーされるように、時間的に分離された複数の段階を経て起こる。最初に、MCMヘリカーゼが不活性な二重六量体として二本鎖DNAに結合する。次に一群の発火因子が動員され、それらが集まって2個のCdc45–MCM–GINS(CMG)ホロヘリカーゼとなる。CMGが形成されるとDNAの巻き方が緩くなって複製フォークの確立に向かうが、この段階でDNAが融解しているのかどうかは不明である。今回我々は、精製した酵母タンパク質からin vitroで再構築され、クロマチン形成した複製起点で起こるATP依存性のCMG構築の様子を、クライオ電子顕微鏡を使って観察した。その結果、CMGの形成によって二重六量体の接触面が破壊され、それによって2個のCMGの間にある二本鎖DNAが露出することが分かった。2個のヘリカーゼは連結したままで広がった二量体となり、これが複製起点の活性化とレプリソームの完全性に関わっていると考えられる。各MCM環の内側では二重らせんのよりがほどけ、塩基対が破壊される。これが起こるのは、ATPによって引き起こされるMCMのコンホメーション変化の結果で、この変化ではDNAが伸び、3個の孤立した塩基がタンパク質を介して安定化される。今回観察した構造中でDNAに結合しているMcm2の小孔のループ残基は、二重六量体の結合やCMG形成には必要でないが、DNAのよりをほどき、複製を促進するのには不可欠である。今回得られた結果により、ATPの結合が核となってCMGによる複製起点DNAの融解が起こり、複製開始部位でのレプリソームの安定性を維持する仕組みが説明された。

