免疫学:カスパーゼ-7はASMを活性化してガスダーミンやパーフォリンの小孔を修復する
Nature 606, 7916 doi: 10.1038/s41586-022-04825-8
制御された細胞死を引き起こすカスパーゼの中で、カスパーゼ-7の固有の機能はこれまで明らかにされていない。カスパーゼ-3がアポトーシスを実行するのに対し、カスパーゼ-7は一般的に効率の悪いバックアップだと考えられている。カスパーゼ-1はガスダーミンDによる小孔を誘導し、細胞を溶解する。カスパーゼ-1はカスパーゼ-7も活性化するが、その理由は分かっていない。また、カスパーゼは細胞タイプ特異的な細胞死応答を引き起こす場合もあり、例えば、カスパーゼ-1はネズミチフス菌(Salmonella enterica subsp. enterica serovar Typhimurium;S. Typhimurium)感染に応答して腸上皮細胞(IEC)の押し出しを引き起こす。今回我々は、オルガノイドとマウスの両方で、カスパーゼ-7欠損IECは完全には押し出されないことを示す。機構としては、カスパーゼ-7は酸性スフィンゴミエリナーゼ(ASM)を切断して活性化することでガスダーミンD小孔を抑制して細胞の完全性を維持し、これにより大量のセラミドが生成されて膜修復の亢進が可能になる。この結果、IECの押し出し過程を完了するための時間が得られる。並行して我々は、カスパーゼ-7とASMの切断が、ナチュラルキラー細胞や細胞傷害性Tリンパ球によるパーフォリン小孔を介した攻撃の後(通常はこれによって、感染した肝細胞でアポトーシスが引き起こされる)、グラム陰性細菌のChromobacterium violaceumやリステリア菌(Listeria monocytogenes)の除去に必要であることも示す。従って、カスパーゼ-7は従来型の細胞死実行因子ではない代わりに、小孔誘導性の細胞溶解を遅延させる細胞死促進因子であり、細胞死の前に押し出しやアポトーシスなどのより特殊化した過程の完了を可能にしている。細胞は死ぬ前に身辺整理をしなくてはならないのである。

