原子核物理学:3He+の磁気モーメントの直接測定
Nature 606, 7916 doi: 10.1038/s41586-022-04761-7
ヘリウム3(3He)は今日では、基礎物理学、原子核構造や原子構造、磁気測定、計測学、さらには化学や医学における研究に最も重要な候補の1つとなっている。特に、3Heの核磁気共鳴(NMR)プローブは、絶対磁気測定の新しい標準として提案されている。こうした測定には、3He核磁気モーメントの精度の高い値が必要になるが、これまでは間接的にしか決定されておらず、その相対精度は12 ppbであった。今回我々は、ペニングトラップ中で3He+の基底状態の超微細構造を調べて直接測定を行い、3He+の核のg因子g′I = −4.2550996069(30)stat(17)sys、ゼロ磁場での超微細分裂EexpHFS = −8,665,649,865.77(26)stat(1)sys Hz、結合電子のg因子gexpe = −2.00217741579(34)stat(30)sysという値を得た。結合電子のg因子は、参考文献のパラメーターと基本定数に基づく我々の理論値gtheoe = −2.00217741625223(39)と一致する。3He+核のg因子の測定値から、反磁性遮蔽定数の正確な計算値σ3He+ = 0.00003550738(3)を用いて、裸の核のg因子をgI = −4.2552506997(30)stat(17)sys(1)theoと決定できた。これは、3He NMRプローブの直接較正の要素となり、精度はこれまでの間接的な結果と比較して1桁向上している。ゼロ磁場の超微細分裂の測定結果の精度は、従来の最も精度の高い値と比較して2桁向上しており、これによって、Zemach半径をrZ = 2.608(24) fmと決定することが可能になった。

