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構造生物学:肝臓へのナトリウム依存性胆汁酸塩取り込みの構造基盤

Nature 606, 7916 doi: 10.1038/s41586-022-04723-z

肝臓は血液から胆汁酸塩を取り込んで胆汁を生成することで、脂溶性栄養素の吸収と代謝物や薬剤の排出を可能にしている。ヒトのNa+-タウロコール酸共輸送ポリペプチド(NTCP)は、肝臓での主な胆汁酸塩取り込み系である。NTCPはまた、ヒトのB型およびD型肝炎ウイルス(HBV/HDV)の細胞侵入に関わる受容体であり、抗ウイルス薬の重要な標的であることが明らかになってきている。しかし、NTCPによる輸送とウイルス受容体機能の基盤である分子機構は完全には解明されていない。今回我々は、ナノボディと複合体を形成したヒトNTCPのクライオ電子顕微鏡構造を得て、その輸送サイクル中の重要な複数のコンホメーションを明らかにした。NTCPは、胆汁酸塩の輸送経路となっている広い膜貫通孔を開くためのコンホメーション移行を経て、HBV/HDV結合の重要な決定因子である残基を細胞外側へ露出させる。膜貫通孔の閉鎖と内側に向いた状態を安定化するナノボディは、HBV/HDV受容体結合ドメインであるpreS1の認識を障害する。これによって、これらのウイルスは、NTCP輸送サイクルの内側に向いたコンホメーションではなく、外向きに開いたコンホメーションの方を選ぶ結合選択性を持つことが明らかになった。これらの結果から、NTCPの「ゲートで開閉する小孔」による輸送とHBV/HDV受容体の認識機構についての分子レベルでの知見が得られ、これらはNTCPを標的とする肝疾患療法の開発に役立つと期待される。

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