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人間行動:都市街路網のエントロピーと将来の空間ナビゲーション能力の関連
Nature 604, 7904 doi: 10.1038/s41586-022-04486-7
環境の文化的および地理的な性質は、認知やメンタルヘルスに深く影響を及ぼすことが示されている。緑地の近くでの生活は非常に有益であることが分かっており、一部の研究では大都市に見られる密な社会経済ネットワークがうつを緩和することが示唆されているものの、都市居住は一部の精神障害のより高いリスクと関連付けられている。しかし、成育環境がその後の認知能力にどう影響するかは、ほとんど分かっていない。今回我々は、ビデオゲームに埋め込んだ認知課題を用いて、世界38か国の39万7162人で非言語的な空間ナビゲーション能力を評価した。その結果、全体として、都市の外で育った人々はナビゲーション能力に優れていることが分かった。より具体的には、人々は育った環境と位相幾何学的に似た環境中において、ナビゲーション能力により優れていた。街路網のエントロピーが低い都市(例えば米国のシカゴ)で育った人は、規則的なレイアウトのビデオゲームレベルで成績が良かったのに対し、都市の外や街路網エントロピーの高い都市(例えばチェコ共和国のプラハ)で育った人は、よりエントロピーの高いビデオゲームレベルで成績が良かった。この結果は、環境がヒトの認知に及ぼす影響の証拠を世界規模で提示するもので、ヒトの認知や脳機能における都市設計の重要性を浮き彫りにしている。

