代謝:雌マウスにおいて、エストロゲンは脳のMC4Rシグナル伝達と連動して身体活動を促進する
Nature 599, 7883 doi: 10.1038/s41586-021-04010-3
齧歯類やヒトでは、エストロゲンが枯渇すると、活動低下や脂肪蓄積、糖尿病が引き起こされる。これは、エストロゲンには保存された代謝的利益があることを明確に示しており、こうした利益は必然的に加齢とともに減少する。齧歯類では、排卵前に17β-エストラジオール(E2)が急増し、これがエネルギー消費を一過的に増加させることで、身体活動の増加と性的受容性のピークが連動する。今回我々は、視床下部腹内側核腹外側部(VMHvl)にあるエストロゲン感受性ニューロンのサブセットが、海馬と後脳の覚醒中枢へ投射しており、雌マウスでのエストロゲンによるエネルギー配分バランスの再設定を可能にしていることを報告する。E2の急増は、エストロゲン受容体α(ERα)をMc4r遺伝子に直接誘導することで、これらのVMHvlニューロンでメラノコルチン4受容体(MC4R)シグナル伝達を上昇させる。エストロゲンを枯渇させた雌マウスでの低活動状態や肥満症は、MC4RとERαの両方を発現するVMHvlニューロンを化学遺伝学的に刺激することで回復した。同様に、このノードをCRISPRを用いて活性化すると、身体活動の長期的な増加が観察された。これらのデータは、ヒトの単一遺伝子性肥満症の最もありふれた原因であるMC4Rシグナル伝達の影響には食物摂取の調節を超えた役割があることを示すとともに、MC4R機能不全による疾患の重症度は女性の方が高いことなど、これまでに報告されているメラノコルチンシグナル伝達の性差の合理的な説明となる。このホルモン依存的ノードは、女性の行動の動機付けや活動的なライフスタイルの維持において、生殖周期中のエストロゲンが持つ力を明らかにしている。

