Article
量子物理学:2つの光吸収型量子メモリー間の伝令付きエンタングルメント配送
Nature 594, 7861 doi: 10.1038/s41586-021-03505-3
地上では、通信チャネルにおける損失が避けられないため、エンタングルメント配送の距離が約100 kmに制限される。量子リピーターは、量子メモリーやエンタングルメントスワッピングを使用することによって、この問題を回避できる。量子リピーターの基本的リンクとしては、2つの遠隔ノード間の2者間エンタングルメントの伝令付き配送が、組み込み型の量子メモリーでのみ実現されている。こうしたスキームは、多重化能力と決定論的性質の間のトレードオフを解決するのが難しいことから、効率の良い量子リピーターの開発において障害となっている。光吸収型量子メモリーを用いた量子リピーターは、量子メモリーと量子光源を分離しているため、そうした限界を克服できる。今回我々は、光吸収型量子メモリー間の伝令付きエンタングルメントの実験による実証について報告する。我々は、偏光エンタングル光子対光源と、帯域幅が最大1 GHzの固体量子メモリーをそれぞれ内蔵する、3.5 m離れた2つのノードを作製した。中間位置でのベル状態の合同測定では、2つの量子メモリー間の最大エンタングル状態の配送の成功が、80.4 ± 2.2%(±1標準偏差)の忠実度で伝令された。今回実証された量子ノードとチャネルは、量子リピーターの基本的リンクとしての役割を果たすことができる。さらに、ノードで使用される広帯域の光吸収型量子メモリーは、決定論的なエンタングルメント源と互換性があり、同時に多重化を支援できるため、実用的な固体量子リピーターや高速量子ネットワークの構築への道を開く。

