超伝導材料:魔法角ねじれ3層グラフェンにおける調節可能な強結合超伝導
Nature 590, 7845 doi: 10.1038/s41586-021-03192-0
近年、モアレ超格子は、相関物理や超伝導をかつてない調節可能性で研究できるプラットフォームとして浮上してきた。相関効果は他のいくつかのモアレ系でも観測されているが、魔法角ねじれ2層グラフェンは依然として、ロバストな超伝導が再現性よく測定される唯一のモアレ系である。今回我々は、魔法角ねじれ3層グラフェン(MATTG)においてモアレ超伝導体を実現したことを報告する。この超伝導体は、魔法角ねじれ2層グラフェンよりも電子構造と超伝導特性の調節可能性に優れている。電子密度と電場の関数としてホール効果と量子振動を測定することによって、常伝導金属状態における系の調節可能な相境界が特定可能になった。また、ゼロ磁場抵抗測定によって、超伝導の存在が、モアレ単位格子当たり2個のキャリアから出現する対称性の破れた相と密接に関連していることが明らかになった。我々は、超伝導相が、対称性の破れた相を部分的に囲むファンホーブ特異点において抑制され、境界をなすことを見いだした。これは、弱結合バーディーン–クーパー–シュリーファー理論と整合させることが困難である。さらに、今回の系は広い範囲にわたってin situ調節が可能なため、超強結合領域(平均粒子間距離に達するギンツブルグ–ランダウコヒーレンス長によって特徴付けられる)と、0.1を超える非常に大きなTBKT/TF値(TBKTはベレジンスキー–コステリッツ–サウレス転移温度、TFはフェルミ温度)への到達が可能になった。こうした観測結果は、二次元ボース・アインシュタイン凝縮体へのクロスオーバー近傍までMATTGを電気的に調節できることを示唆している。今回の結果は、強結合超伝導の基本的理解と応用を一変させる可能性のある、調節可能なモアレ超伝導体群を確立するものである。

