臨床研究:ヒト血清メタボロームの決定要因候補の参照マップ
Nature 588, 7836 doi: 10.1038/s41586-020-2896-2
血清メタボロームには、バイオマーカーやさまざまな疾患の原因物質が大量に含まれており、その中には内因的に作られるものもあれば、環境から取り込まれるものもある。遺伝性の高い代謝物、あるいは腸のマイクロバイオーム、喫煙などの生活様式選択、食餌により影響を受ける代謝物など、特定の化合物の起源は分かっているが、ほとんどの代謝物の主要な決定要因はいまだに解明が進んでいない。今回我々は、詳細な表現型解析を行った491人の健康な被験者からなる独特なコホートから得た血清試料で、1251種類の代謝物レベルを測定した。機械学習アルゴリズムを用いることで、宿主の遺伝的特性、腸マイクロバイオーム、臨床パラメーター、食餌、生活様式、身体計測値に基づいてホールドアウト群の個人の代謝物レベルが予測され、プロファイリングされた代謝物の76%以上に対して統計的に有意な予測が得られた。食餌とマイクロバイオームの予測力が最も高く、それぞれが数百の代謝物を説明付けており、観察された分散の50%以上が説明できる場合もあった。また、地理的に独立した2つのコホートで高い再現率を示すことで、マイクロバイオームに関連した予測の正当性が立証された。これらのコホートはアルゴリズム訓練時には使えなかったものである。さらに、特徴量寄与分析を用いて、特定の食餌と細菌の相互作用が示された。我々は、これらの相互作用の一部には因果関係がある可能性を実証する。パン食との正の関連が予測されたいくつかの代謝物は、パン食介入の無作為化臨床試験後に増加することが分かったからである。まとめると我々の結果は、800種類以上の代謝物の決定要因候補を示しており、異なる条件下での代謝物の変化を機構的に理解し、循環血中代謝物レベルを操作する介入を設計するための道を開くものである。

