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物性物理学:グラフェンにおけるディラック流体の粘性流の画像化

Nature 583, 7817 doi: 10.1038/s41586-020-2507-2

電荷中性グラフェンにおける電子・正孔プラズマは、電子輸送が流体力学で普遍的に記述される量子臨界系を室温でも実現させると予測されている。この量子臨界「ディラック流体」は、ある下臨界近傍でせん断粘度を持つと予想されており、粒子間散乱速度はプランク時間(粒子緩和の最短時間スケール)で飽和する。有限キャリア密度での電子輸送測定の結果は、グラフェンにおける流体力学的電子流と矛盾しないが、電荷中性点における粘性流はまだ明確には実証されていない。今回我々は、付随する漂遊磁場を測定することによって、グラフェンにおける粘性ディラック流体流を室温で直接画像化した。ナノスケールの画像化は、ダイヤモンドの窒素空孔中心を用いて実現された量子スピン磁力計を使用して行われた。走査型単一スピン広視野磁気測定から、電荷中性点近傍の高移動度グラフェンチャネルにおける電子流の放物線状ポアズイユプロファイルが明らかになり、ディラック流体の粘性輸送が確認された。この測定結果は、金属伝導体や低移動度グラフェンチャネルで画像化された、従来の一様流プロファイルとは対照的である。画像化と輸送測定を組み合わせることによって、粘度と散乱速度が得られ、これらの数値が量子臨界で予想される普遍的な値と同程度であることが見いだされた。この知見は、室温の電荷中性高移動度グラフェンにおけるほぼ理想的な電子流体を立証するものである。今回の結果は、高温超伝導体の強相関電子に関連する、量子臨界流体における流体力学的輸送の研究が可能にすると思われる。また、今回の研究は、量子スピン磁力計でナノスケールの相関電子現象を探究できることを浮き彫りにしている。

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