植物科学:葉圏におけるディスバイオーシスを防ぐための植物の遺伝学的ネットワーク
Nature 580, 7805 doi: 10.1038/s41586-020-2185-0
陸上植物の地面より上に出ている部分全体は葉圏と総称され、大気中の二酸化炭素と酸素の全球的な均衡に重要な役割を果たしている。葉圏は、微生物相の定着が最も豊富に見られる生息場所の1つである。植物が自身の健康を守るために葉圏の微生物相を制御しているのかどうか、しているとしたらどのようにしているのかはよく分かっていない。今回我々は、シロイヌナズナ(Arabidopsis)において、パターン誘導性免疫応答とMIN7小胞輸送経路に同時に欠陥がある4重変異体(min7 fls2 efr cerk1;以降mfec)、あるいは膜侵襲複合体/パーフォリン(MACPF)ドメインタンパク質をコードするcad1(constitutively activated cell death1)遺伝子のS205F変異体では、葉圏の内生微生物相が変化しており、ディスバイオーシスに関連した葉組織の損傷が見られることを示す。mfec変異体とcad1S205F変異体では、シャノンの多様度指数とファーミキューテス門の細菌の相対存在量は著しく減少していた一方でプロテオバクテリア門の細菌は増加しており、ヒトの炎症性腸疾患でのディスバイオーシスのいくつかの点と、界を超えた類似性が見られた。細菌群集移植実験によって、適切に構成された葉の細菌群集が、葉圏の健全性をもたらす役割を果たしていることが実証された。パターン誘導性免疫シグナル伝達、MIN7、CAD1は主要な陸上植物の系統に見られ、これらはおそらく陸上植物の遺伝学的ネットワークの中心的な構成要素であり、陸上植物はこのネットワークにより、微生物の豊富な環境における生存と健康のために、葉圏の内生微生物相のレベルを制御し、多様性を育んでいると考えられる。

