神経免疫学:AIM2インフラマソームによるDNA損傷の監視が神経発達を形作る
Nature 580, 7805 doi: 10.1038/s41586-020-2174-3
神経発達の特徴は、神経細胞の高速での増殖と分化、それに続く大量の細胞死であり、この細胞死では新しく生じた全ての脳細胞の半分以上が剪定される。このような神経発達事象の間に、DNA損傷、細胞残屑、細胞ストレスの副産物が大量に生じ、これら全てが免疫シグナル伝達を活性化する可能性がある。この付随的損傷に対する免疫応答が脳の成熟や機能にどのように影響を及ぼすかは分かっていない。今回我々は、AIM2インフラマソームが正常な脳の発達に関与すること、そしてこの遺伝毒性ストレスの免疫センサーが破壊されると行動異常につながることを示す。感染の際、二本鎖DNA損傷に応答して起きるAIM2インフラマソームの活性化は、サイトカインの産生に加え、ピロトーシスとして知られる、ガスダーミンDを介した型の細胞死を引き起こす。マウスでは、神経発達においてAIM2インフラマソームの顕著な活性化が観察され、このDNA損傷センサーの欠損が不安関連行動を引き起こすことが分かった。さらに我々は、AIM2インフラマソームが中枢神経系(CNS)の恒常性に関与することを示す。これは、サイトカインIL-1および/あるいはIL-18の産生への関与を介してではなく、特にガスダーミンDの調節を介して起きていた。このゲノムストレスセンサーが遺伝的欠陥のあるCNS細胞を除去する役割を持つことと一致して、AIM2インフラマソームシグナル伝達の障害は、DNA損傷誘発剤への応答として、ならびに神経発達中の、神経細胞死の減少につながることが分かった。その上、AIM2の変異は、ニューロンにおけるDNA損傷の過剰な蓄積に加え、成体の脳に組み込まれるニューロン数の増加につながった。我々の知見から、このインフラマソームが、遺伝的欠陥のある細胞の除去における役割を通して、CNSの適切な形成を確立するための重要な因子として働くことが明らかになった。

