Article

天文学:超高温の系外巨大惑星における夜側での鉄の凝縮

Nature 580, 7805 doi: 10.1038/s41586-020-2107-1

超高温の系外巨大惑星は、地球の日射量の数千倍もの照射を恒星から受けている。そうした高温の大気(2000 K以上)は、惑星の極端な気候や化学の研究に理想的な実験室である。こうした系外惑星の昼側は雲がなく、原子種が支配的で、夜側よりもかなり高温であると予測される。原子は、夜側で再結合して分子になるため、昼側と夜側の化学的性質は異なっていると考えられる。そうした系外惑星の表面全域では、金属元素と大きな温度差が観測されているが、化学勾配はこれまで測定されていない。しかし、昼から夜(「夕方」)の明暗境界線と夜から昼(「朝」)の明暗境界線の間の大気の化学的性質の違いは、トランジット時の非対称な吸収特性として表れる可能性がある。本論文では、超高温の系外惑星WASP-76bにおける非対称な大気特性の検出について報告する。我々は、高分散分光観測と大きな集光面積とを組み合わせて用い、この特性をスペクトル的および時間的に解像した。その結果、中性の鉄に起因する吸収信号が、後行側の辺縁部で−11 ± 0.7 km s−1だけ青方偏移していることが明らかになった。これは、惑星の自転と、高温の昼側から吹く風の組み合わせによって説明できる。対照的に、朝の明暗境界線に近い夜側からは信号が全く生じていない。これは、そこでは原子状の鉄が星の光を吸収していないことを示している。従って我々は、鉄は、夜側をわたる行程の間に凝縮するに違いないと結論付ける。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度