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物性物理学:強誘電体薄膜の迷路分域パターンの逆転移
Nature 577, 7788 doi: 10.1038/s41586-019-1845-4
相分離は協同過程であり、その動力学が、メゾスコピックスケールでの分域パターンの規則正しい形態形成を支えている。高度に縮退した凍結状態の系は、逆対称性の破れという、まれで直観に反した現象を示す場合がある。1世紀前に提案された逆転移は、高分子化合物やコロイド化合物から高温超伝導体、タンパク質、極薄膜磁性体、液晶、合金まで、異なる多様な物質で実験的に見いだされているが、理論的研究や実験的研究が広範に行われているものの強誘電性酸化物では逆転移は見いだされておらず、明らかな例外である。今回我々は、Pb(Zr0.4Ti0.6)O3極薄膜の強誘電分域が亜臨界クエンチした後、非平衡自己集合すると、蛇行するストライプ分域を特徴とする迷路パターンが生じることを示す。さらに、温度が高くなると、この高度に縮退した迷路相は逆転移を起こして、より対称性の低い平行ストライプ分域構造に変わり、その後より高い温度で常誘電性が生じる。この相系列は分域壁のエントロピー寄与の増大に起因すると考えられ、分域の直線化と粗大化は主にトポロジカル欠陥の緩和と拡散に駆動されることが見いだされた。BiFeO3の逆双極子転移の計算モデリングと実験観察から、強誘電性酸化物においてこの現象が普遍的であることが示唆された。自己パターン形成した多数の状態と、こうした状態に生じるさまざまなトポロジカル欠陥は、根本的に新しい設計原理と強誘電体薄膜内でトポロジカルに増強された機能性を可能にすることによって、分域と分域壁に基づく現行の技術を超えて使用できる可能性がある。

