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細胞生物学:RIPK1のカスパーゼ切断を妨げる変異は自己炎症性疾患を引き起こす

Nature 577, 7788 doi: 10.1038/s41586-019-1828-5

RIPK1は自然免疫シグナル伝達経路の主要な調節因子である。最適な炎症応答を保証するために、RIPK1は、すでに十分に特徴付けられているユビキチン化やリン酸化の事象や、カスパーゼ-8を介した切断による翻訳後調節を受けている。この切断事象の生理学的な関連性は明らかになっていないが、RIPK3の活性化とネクロトーシスを抑制すると考えられている。今回我々は、ヒトでは、RIPK1のD324N、D324H、D324Yというヘテロ接合ミスセンス変異がRIPK1のカスパーゼ切断を妨げ、早期発症型の周期性発熱症候群と重篤な間欠性リンパ節症(我々はこのような症状を「切断抵抗性RIPK1誘導性自己炎症症候群」と名付けた)を生じることを示す。この病気の機構を明らかにするために、我々は切断抵抗性Ripk1D325A変異マウス系統を作製した。Ripk1−/−マウスは全身性炎症によって出生後に死亡したのに対し、Ripk1D325A/D325Aマウスは胚形成中に死亡した。この胚致死は、さらにCasp8Ripk3も合わせて欠損させることで完全に抑制されたが、Ripk3あるいはMlklのみの欠損を加えても抑制されなかった。Ripk1D325A/D325Aマウスの胚致死は、RIPK1のキナーゼ活性の喪失によっても防ぐことができるが、このマウスはRIPK3依存的な多臓器炎症のために離乳前に死亡した。これと合致して、Ripk1D325A/D325ARipk1D325A/+の細胞は、RIPK3依存的なTNF誘導性アポトーシスとネクロトーシスに対して過感受性を示した。ヘテロ接合のRipk1D325A/+マウスは生存でき、外見上は正常であったが、in vivoでの炎症性刺激に対して過剰応答した。我々の結果は、胚発生中のカスパーゼを介したRIPK1切断の重要性を明らかにしており、またRIPK1のカスパーゼ切断がネクロトーシスを抑制するだけではなく、炎症の恒常性を一生を通じて維持することも示している。

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