Article

材料化学:金属有機構造体における原子レベルで明確な金属ハロゲン化物シートの閉じ込め

Nature 577, 7788 doi: 10.1038/s41586-019-1776-0

ナノスケール材料をバルク固体と区別するサイズ依存性や形状依存性は、無機構造の次元性を制約することによって生じる。結果として、多くの研究が、こうした材料を合理的に成形して光学特性、電気的特性、磁気的特性、触媒特性に影響を与え、それらの特性を向上させることに重点を置いてきた。通常、特定の組成に対しては、選ばれた一部の安定クラスターをナノスケール領域内で合成できるが、既定のサイズと形状のクラスターの分離は、特に二次元材料に由来するクラスターではまだ難しい。今回我々は、金属有機構造体において多座配位環境を実現し、多孔性結晶支持体内で個別の無機クラスターを安定化させたことを報告する。我々は、6つのビピリジン・キレートリンカーを周辺部で配位させることによって、原子レベルで明確な臭化ニッケル(ii)、塩化ニッケル(ii)、塩化コバルト(ii)、塩化鉄(ii)のシートが閉じ込められた環境で成長することを示す。注目すべきは、こうした構造体内に閉じ込められることによって、これらのシートの構造と組成が明確に定まり、結晶構造解析による精密な特性評価が促進されることである。各々の金属(ii)ハロゲン化物シートは、バルク固体構造の単層から切り取られたフラグメントに相当する。また、異なる前駆体充填量で得られる構造によって、逐次的なシート形成段階の観察が可能になる。さらに、隔離されたシートは、長距離層間磁気秩序がなくなることによって強磁性結合した高スピン基底状態の分離など、バルクの金属ハロゲン化物とは異なる磁気的挙動を示す。まとめると今回の結果は、金属有機構造体の細孔環境を設計することで、無機クラスターのサイズ、構造、空間的配置を精密に制御できることを示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度