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細胞シグナル伝達:KRAS4Aはヘキソキナーゼ1を直接的に調節する

Nature 576, 7787 doi: 10.1038/s41586-019-1832-9

がんで最も高頻度に変異しているがん遺伝子はKRASである。この遺伝子は代替となる4番目のエキソンを使って、C末端の膜標的化領域だけが異なる2種類の遺伝子産物(KRAS4AとKRAS4B)を作り出す。発がん性変異はエキソン2あるいは3に起きるので、KRASが変異によって活性化された際には、2種類の構成的に活性なKRASタンパク質(どちらも細胞を形質転換させる力がある)がコードされることになる。しかし、これまでのところ、スプライスバリアント間の機能的な違いは確認されていない。発がん性のKRASは腫瘍細胞の代謝を複数の方法で変化させ、その中には酸素が豊富に存在してもグルコースの取り込みと解糖が亢進するワールブルク効果も含まれる。発がん性KRASのこのような代謝への影響は、グルコース輸送体や解糖系酵素の転写の上方調節で説明されてきたが、代謝酵素の直接的な調節が起こっているがどうかは解明されていない。今回我々は、KRAS4Aとヘキソキナーゼ1(HK1)の間にGTPに依存した直接的な相互作用があることを報告する。この相互作用はキナーゼの活性を変化させるので、HK1はKRAS4Aのエフェクターであることが確証された。この相互作用はKRAS4Aに特有だが、それはこのRASアイソフォームが、パルミトイル化–脱パルミトイル化サイクルによってミトコンドリア外膜上でHK1と共局在できるからである。がんでのKRAS4Aの発現は独特な代謝脆弱性を推し進める可能性があり、これは治療に使えるかもしれない。

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