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ナノスケール材料:酸化グラフェンナノシートを用いて氷生成の臨界核サイズを探る
Nature 576, 7787 doi: 10.1038/s41586-019-1827-6
水の凍結は至る所で見られ、気候、化学工業、低温生物学、材料科学など、さまざまな分野に影響を及ぼしている。氷核生成は水の凍結における制御段階であり、氷核生成には臨界氷核の生成が必要であると、1世紀近くにわたって考えられてきた。しかし、臨界氷核の過渡性とナノスケール性のため、そうした核の存在を示す直接的な実験的証拠は得られていない。今回我々は、サイズを制御した酸化グラフェンナノシートを含む水滴における氷核生成について報告し、酸化グラフェンナノシートが特定のサイズ(水滴の過冷却度によって異なる)を超える場合にのみ、氷核生成に著しい影響を及ぼすことを示す。我々は、実験データと理論計算から、酸化グラフェンの臨界サイズが臨界氷核のサイズを反映していると推測する。十分に大きな酸化グラフェンの場合、臨界氷核は酸化グラフェン表面上に「載り」、古典的核生成理論と一致した氷生成挙動を生じさせる。これに対し、酸化グラフェンのサイズが臨界氷核よりも小さい場合、酸化グラフェンの外周部でピン止めが起こるため、氷核は成長するにつれて変形する。これによって、核生成の自由エネルギー障壁がはるかに高くなり、酸化グラフェンの促進効果が抑制される。今回の結果から、これまで理論やシミュレーションによってしか調べられていなかった、臨界氷核の存在と臨界氷核サイズの温度依存性に関する実験的な情報が得られた。ナノ粒子のエッジ部における臨界前の核のピン止めは、酸化グラフェン表面上の氷核に特有のものではないので、今回の手法を拡張して、他の核生成過程における臨界核を調べることができる可能性があると、我々は予想する。

