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創薬:グラム陰性病原菌を選択的に殺す新たな抗生物質
Nature 576, 7787 doi: 10.1038/s41586-019-1791-1
新規抗生物質の必要性は現在、薬剤抵抗性グラム陰性病原菌に対して特に緊急性を帯びている。これらの微生物は浸透を著しく制限するバリアを持つため、ほとんどの化合物は透過できない。そのため、グラム陰性細菌に作用する抗生物質のクラスは1960年代を最後に開発されていない。我々は、有用な化合物は、抗生物質に対してヒトと類似した要求を持つ細菌中に見つかる可能性があると考え、昆虫病原性線虫のマイクロバイオームの共生細菌であるPhotorhabdus属細菌に着目した。今回我々は、Photorhabdus単離株のスクリーニングから得られた、ダロバクチン(darobactin)と命名した新たな抗生物質を報告する。ダロバクチンは実験室条件下ではほとんど産生されないサイレントオペロンにコードされていて、リボソームで合成される。ダロバクチンは、大環状架橋を2つ持つという珍しい構造をとっており、この架橋は翻訳後に形成される。この化合物は、in vitroと感染の動物モデルの両方で重要なグラム陰性病原菌に対する活性を示す。ダロバクチンに抵抗性の変異体は、外膜タンパク質の折りたたみを行う必須のシャペロンかつトランスロケ-ターであるBamAにマッピングされた。我々の研究は、治療薬開発に特に適した抗生物質が、動物の共生細菌に含まれていることを示唆する。

