発生生物学:破骨細胞の発生起源、機能維持、遺伝的救済
Nature 568, 7753 doi: 10.1038/s41586-019-1105-7
破骨細胞は骨を再吸収する多核巨細胞であり、骨格および骨髄造血ニッチの発達や継続的なリモデリングを確実にしている。破骨細胞活動の低下は大理石骨病や骨髄不全につながる一方、過剰な活動は骨量減少や骨粗鬆症に関与することがある。大理石骨病はヒトとマウスで骨髄移植によって部分的に治療可能であり、これは破骨細胞が造血系起源であることや、この細胞がCSF1およびRANKリガンドの存在下での造血幹細胞由来の単球前駆細胞の融合により生じることを示唆した研究結果と一致している。しかし、破骨細胞の発生起源や寿命、そしてin vivoで生涯を通じて破骨細胞機能が確実に維持されるようにする機構についてはほとんど分かっていない。今回我々は、胎仔の骨化中心に定着する破骨細胞が胚の赤血球骨髄系前駆細胞に由来することを報告する。これらの赤血球骨髄系前駆細胞由来の破骨細胞は、正常な骨の発生と歯の萌出に必要である。しかし、適切な時期に新生マウスに造血幹細胞由来の単球細胞を注入するだけで、早期発症型の常染色体劣性型大理石骨病において骨発達を救済できた。出生後の破骨細胞、骨量、骨髄腔の維持には、長期生存する破骨細胞シンシチウムと循環血中の単球細胞とが繰り返し融合することが必要であることも分かった。結果として、並体結合あるいは単球細胞の注入により、造血幹細胞のキメラ現象がない場合に破骨細胞に長期にわたって遺伝子導入が起こり、カテプシンK欠損に起因する成人発症型大理石骨病の表現型の救済が可能になる。まとめると、我々の結果により、破骨細胞の発生起源と出生後の骨において破骨細胞の維持を制御する機構が特定された。これらのデータは、大理石骨病における破骨細胞不全を救済し、in vivoで破骨細胞の活動を調節する戦略を示唆している。

