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惑星科学:火星のメタンは、エクソマーズのトレース・ガス・オービターの初期観測では検出されなかった
Nature 568, 7753 doi: 10.1038/s41586-019-1096-4
火星におけるメタンの検出は、地球化学的活動や生物活動が現在の火星に存続している可能性があることを示すと解釈されている。複数の異なるメタンの測定結果は、過渡的で局所的なメタン濃度の上昇や、メタンの背景濃度の季節変動の証拠を示している。しかし、こうした測定結果と、メタンの寿命が数世紀であることから均一で十分に混合されたメタンの分布が予測される、という火星大気の化学と物理に関する現在の我々の理解とを両立させるのは困難である。本論文では、2018年4〜8月にESAとロスコスモスによる「エクソマーズ」ミッションのトレース・ガス・オービターに搭載された観測装置ACSとNOMADを用いてメタンの検出を試みた、火星大気の高感度測定結果について報告する。両半球の広範囲の緯度にわたってメタンは検出されず、得られたメタン上限値は約0.05体積ppbだった。これは、これまで報告された肯定的な検出結果の10分の1〜100分の1である。今回の発見と、ゲールクレーターで観測されたメタンの背景濃度とを両立させるには、メタンが全球に広がる前に、下層大気からメタンを速やかに除去あるいは隔離できる未知の過程が必要であると示唆される。

