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構造生物学:ATP-クエン酸-リアーゼの構造とクレブス回路中のクエン酸シンターゼの起源
Nature 568, 7753 doi: 10.1038/s41586-019-1095-5
生物のさまざまな界において、ATP-クエン酸-リアーゼ(ACLY;別名ACL)は、クレブス回路の代謝物の1つであるクエン酸を、ATPと補酵素A(CoA)に依存して、オキサロ酢酸と高エネルギー結合を持つ生合成前駆体のアセチルCoAに変換する反応を触媒している。アセチルCoAは、脂肪酸、コレステロール、アセチルコリンの合成の他、ヒストンなどのタンパク質のアセチル化のような重要な生化学反応にエネルギーを供給する。独立栄養性の原核生物では、ACLYは逆クレブス回路(還元的トリカルボン酸回路とも呼ばれる)の特徴となる酵素で、この回路では2分子の二酸化炭素がアセチルCoA中に固定される。ヒトでは、ACLYは糖質代謝と脂質代謝とを結び付けており、肝臓や脂肪組織、またコリン作動性ニューロンで盛んに発現されている。ACLYの機能の構造基盤は解明されていない。今回我々は、細菌、アーキアおよびヒトのACLYの高分解能結晶構造を明らかにし、異なる基質結合状態を使ってACLYのコンホメーションの可塑性と多段階触媒反応過程とを結び付けた。このような詳細な知見は、がんや高脂血症でヒトACLYを標的とする際の基盤となるだろう。またこの構造研究により、酸化的クレブス回路の最初の酵素であるクエン酸シンターゼと、その祖先で逆クレブス回路で働く四量体型シトリルCoAリアーゼモジュールとの進化上の基本的関係が明らかになった。このような分子の変遷は、地球における代謝の進化の重要な段階を印付けるものだ。

