大気科学:正に帯電した雷の枝で発見された針状構造
Nature 568, 7752 doi: 10.1038/s41586-019-1086-6
雷は、危険だがほとんど解明されていない自然現象である。雷は、起点から遠方に伝搬して、正極性リーダーと呼ばれる正に帯電した末端と負極性リーダーと呼ばれる負に帯電した末端を有するプラズマチャネルネットワークを形成する。負極性リーダーは離散的なステップ状に伝搬し、30~300 MHz周波数帯の電波パルスを大量に放出する。そうしたパルスは、遠隔検知できるとともに高い時空間分解能で画像化できる。正極性リーダーは、負極性リーダーよりも連続的に伝搬し、このため高周波放射をほとんど放出しない。それでも、正極性リーダーからの電波放出は過去にマッピングされており、負極性リーダーと異なるパターンが示されている。さらに、正極性リーダーは負極性リーダーから一時的に分離することがあると推測されており、これが電流パルスの生成につながることで、正極性リーダーの負極性リーダーへの再結合と、雷雲から地表への複数の落雷事象の両方を引き起こす。この分離過程は負性微分抵抗に起因すると考えられているが、これでは、分離が主に正極性リーダーで生じる理由や、雷雲から地表への落雷時に電流がゼロにならない理由が説明されない。実際、正極性リーダーが電波周波数放射を放出する仕組みや、その振る舞いが負極性リーダーと異なる理由はまだ分かっていない。今回我々は、オランダ上空においてかつてない時空間分解能で雷の三次元電波干渉観測を行った結果について報告する。我々は、正極性リーダーからの主な電波放出源となっている小さなプラズマ構造を見いだし、これを「針」と名付けた。この構造は、正極性リーダーから電荷を引き抜くようであり、おそらくこれが正極性リーダーが負極性リーダーから分離する原因になっており、雷雲から地表への雷が複数回地表に到達する原因にもなっている可能性がある。

