気候科学:1961〜2016年の全球の氷河質量の変化とその海水準上昇に対する寄与
Nature 568, 7752 doi: 10.1038/s41586-019-1071-0
グリーンランド氷床や南極氷床を除いた氷河は、全球で約70万6000 km2の面積を覆っており、その全体積は約17万 km3、つまり0.4 mの海水準上昇に相当すると見積もられている。氷河の後退と薄化は気候変動の象徴であり、地域的な流出と全球の海水準に影響を及ぼす。気候変動に関する政府間パネルの過去の報告書では、氷河の質量の変化は、数百の氷河の入手可能な観測結果の平均値または内挿値を、規定の地域的な氷河面積と掛け合わせて見積もられている。データのまばらな地域では、こうした結果は、衛星による測高と重力測定に基づく見積もりで補完する必要があった。こうした過去の方法には、一連のin situ測定の数が少なく時空間的な分布が不均一で、それぞれの氷河に該当する山岳地帯を表現する能力が不明であることが多く、衛星による測高に空間的な制約があり(点データしか得られない)、重力測定にも同様の制約がある(分解能が粗い)という課題があった。本論文では、氷河観測と測地観測の結果を外挿して、1961〜2016年に氷河が全球平均の海水準上昇に27 ± 22 mm寄与したことを示す。2006〜2016年の地域固有の質量変化率は年間−0.1〜−1.2 mの水に相当し、年当たりで、全球の海水準に335 ± 144 Gt、つまり0.92 ± 0.39 mm寄与したことになる。統計的な不確かさの範囲は重複しているが、今回の結論は、氷河の質量損失が以前の報告より大きかった可能性を示唆している。現在の氷河の質量損失は、海水準に対するグリーンランド氷床の寄与と同程度で、南極氷床の損失を明らかに超えており、観測されている全海水準上昇の25〜30%を占めている。現在の質量損失率は、今世紀中に一部の山岳地帯で氷河がほぼ消失する可能性がある一方で、著しく氷河化した地域は2100年を過ぎても海水準上昇に寄与し続けることを示している。

