太陽エネルギー:ポリ(3-ヘキシルチオフェン)を用いる安定かつスケーラブルな高効率ペロブスカイト太陽電池
Nature 567, 7749 doi: 10.1038/s41586-019-1036-3
ペロブスカイト太陽電池は通常、ペロブスカイト活性層の片面に電子輸送材料を、もう片方の面に正孔輸送材料を堆積した構造をしている。これまで、ペロブスカイト太陽電池において最高水準の性能を実現しているのは、ポリ(トリアリールアミン)(PTAA)と2,2′,7,7′-テトラキス(N,N-ジ-p-メトキシフェニルアミン)-9,9′-スピロビフルオレン(spiro-OMeTAD)の2つの有機正孔輸送材料だけである。しかし、これらの材料は、高コストで、ペロブスカイト層の劣化を引き起こす吸湿性ドーパントを必要とし、堆積過程に制限があるなど、商業化の観点からいくつか欠点がある。ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)は、優れたオプトエレクトロニクス特性、低コスト、作製の容易さを兼ね備える代替的正孔輸送材料だが、これまでのところ、P3HTを用いたペロブスカイト太陽電池の効率は約16%にしか達していない。今回我々は、ドーパントを必要としない正孔輸送材料としてP3HTを用いる高効率ペロブスカイト太陽電池のデバイス構成を提案する。ペロブスカイト表面でのn-ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミドのin situ反応によって、バンドギャップの狭い光吸収層の上にバンドギャップの広いハロゲン化物ペロブスカイト薄層を形成した。今回のデバイスは、認証電力変換効率が22.7%、ヒステリシスが±0.51%で、封入せずに相対湿度85%で良好な安定性を示した。封入すると室温において1 Sun照射下で1370時間の長期動作安定性を示し、初期効率の95%を維持した。我々は、今回のプラットフォームを大面積モジュール(24.97 cm2)に拡張し(スケーラブルなバーコート法を用いてP3HTを堆積することによって作製)、電力変換効率16.0%を達成した。バンドギャップの広いハロゲン化物を用いた正孔輸送材料としてのP3HTの潜在能力の実現は、ペロブスカイト太陽電池研究の有用な指針となる可能性がある。

