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生物工学:カンナビノイドおよびその非天然類似体の酵母での全生合成

Nature 567, 7746 doi: 10.1038/s41586-019-0978-9

大麻(Cannabis sativa L.)は、その薬効成分のために数千年にわたって世界中で栽培・使用されてきた。大麻の特徴的な成分である複数のカンナビノイドやそれらの類似体は、医療への応用の可能性が詳しく調べられてきた。カンナビノイド製剤のいくつかは、さまざまなヒト疾患の治療薬として複数の国で処方薬として承認されている。しかし、カンナビノイドの研究や医療での使用は、大麻の栽培などが法的規制の対象となっていること、既知の数十種のカンナビノイドのほぼ全てでin plantaでの含有量が少ないこと、また構造が複雑で大量化学合成に限界があることによって阻まれてきた。今回我々は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)を使い、主要なカンナビノイドのカンナビゲロール酸、Δ9-テトラヒドロカンナビノール酸、カンナビジオール酸、Δ9-テトラヒドロカンナビバリン酸およびカンナビジバリン酸を、単糖であるガラクトースから全生合成したことを報告する。反応を行わせるために、本来のメバロン酸経路に変更を加えてゲラニルピロリン酸の収量を増やし、多数の異種生物に由来するヘキサノイルCoA生合成経路を導入した。また、オリベトール酸生合成に関わる酵素群をコードする大麻の遺伝子に加えて、ゲラニルピロリン酸:オリベトール酸ゲラニルトランスフェラーゼ活性を持つこれまで見つかっていなかった酵素をコードする遺伝子や、各産物に対応するカンナビノイドシンターゼをコードする遺伝子も導入した。さらに、カンナビノイド類似体を産生させるために、いくつかの経路の遺伝子群がコードする酵素の特異性が低いことを利用する生合成法を確立した。改変した酵母株にさまざまな脂肪酸を与えると、受容体への結合親和性や効能を変化させることが知られている部分が修飾されたカンナビノイド類似体分子が得られた。また、我々の生物系を簡単な合成化学的手法で補うことでアクセス可能な化合物空間をさらに拡大できることも実証された。今回の研究は、天然および非天然のカンナビノイドを産生するためのプラットフォームを提供するもので、これはカンナビノイド類のより厳密な研究を可能にし、また、ヒトのさまざまな健康問題の治療法開発に使用できると考えられる。

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